Sunny Record

アニメラブライブ!の、私見会場です。

アニメラブライブ!虹ヶ咲スクールアイドル同好会 第9話「仲間でライバル」感想 〜青龍は絆されない。〜

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お前の信じる、お前を信じろ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちはおはようございますこんばんは初めまして毎度どうも、Sunny Roadと申します。以後お見知りおきを。

 

 

さて、例のごとく今回もアニメラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第9話の感想を書いていこうと思います。

今回はいよいよ同好会各メンバースポット回も佳境を迎える中での最後のピース、朝香 果林ちゃんのお話ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本ブログは、私Sunny Roadがここぞとばかりに自分の解釈を余す所なく書き殴っただけの"私見会場"でございます。

記事中全ての駄文にはありふれた説得力や責任は一切含まれていないことをご理解の上、斜め読み程度にご覧くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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今回はアニメニジガク有能溢れるシナリオもいよいよ大詰めに差し掛かるための最後のメンバー担当回、果林ちゃんの回・・・と、なるのですが。

今までの果林ちゃんの動向を思い返してみると、彼女は担当回を飾る前から既に同好会の全体に漂う雰囲気やステージへの認識に対して斜めに構えていたり、どこか周りと違う独自の理解と一家言あるような威風堂々な出立ちを見せていました。

そもそも彼女が同好会に入ったモチベーション(この場合、本来の意味である「動機付け」の意)も親友の悲しむ顔を見たくないという、一見して彼女のクールビューティーな佇まいに似つかわしくない人情の厚さや義理深さが感じられて意外だったという人も、初見さんだといらっしゃるのでは?

率直で無骨な言い方にはなってしまいますが、果林ちゃん同好会に関わっていくシーン一つ一つをかいつまむたびに彼女がどういう認識でこの一つのコミュニティに参入しているかを汲み取っていけば彼女は他のメンバーと比べて少し異質です。しかしそれが、これまで描かれてきた「同好会」というある種何もかもがとっ散らかっていた集まりに足りていなかったものの最後のピースを埋め、引き締めてくれる存在になり得た。それが9話の本質ですね。

そしてその9話を語る上で、ゲストキャラとして登場してくれたのが・・・

 

 

 

 

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藤黄学園スクールアイドル部の綾小路 姫乃ちゃん。

 

(髪色変えたらまんま海未ちゃんみたいやな・・・清楚で上品な佇まいも相まって・・・)

 

見切れてますが東雲学園の近江遥ちゃんも再登場です。やった。藤黄学園東雲学園にオファーが来ていたお台場の音楽ライブ、「Diver Fes」の出場枠の一つに今ホットな人気急上昇中である虹ヶ咲学園を推薦したいという意向で推参したとのこと。

またとないチャンス!とばかりに同好会メンバー一同は目を輝かせますが、果林ちゃんだけはこのお誘いに動じず静観し、付け加えられた条件を提示する姫乃ちゃんの心中を探るように冷静に睨みます。その条件というのも実にシンプルで、出演時間を鑑みた結果の各校一曲ずつ、というもの。

オファーの来た2校のスクールアイドル部はグループ活動のため何の問題もありませんが、ソロで活動している虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会にとってはどう頑張っても誰かメンバー一人分のお披露目の時間しか捻出できない。

 

 

 

うん・・・じゃあ何で誘ったん?

 

 

 

 

 

 

放送直後は何となくイキってこういう風に豪語してしまいましたが、別にこういう風に思い込んで確信してるわけではないですよ。ただ各々のステージに対する表現意識をソロ回として描いてきてて、9人全体が関わって活動する上での苦境というのが今まではっきりと提示されてこなかったからその辺気がかりだっただけなんですよぉ。別に姫乃ちゃんのことを本心から性悪女みたいな風にヘイト向けてないですってば。

ま、実際の魂胆がどうであったにしろ、ニジガクがソロ活動が中心だと他校にも認知されてた上で条件付きの出場枠を薦めてくるというアクションについては色々勘繰ってしまいますよね。で、その姫乃ちゃんの魂胆を探る上で彼女が異様に熱視線を送っていたのが果林ちゃん

姫乃ちゃんがもし「自分の脅威となる"芽"は早い段階で潰しておきたい」と夥しい(であろう)スクールアイドルのいちメンバーとして睨みを利かせて画策するのであれば、学内で既にかなり人気となっているせつ菜ちゃんの噂を聞き逃すはずもありません。では何故果林さんに・・・?というところが、姫乃ちゃん完全な悪役に仕立て上げなかった事由が後にチラと見えてオタクに優しい仕上がりになってるんだなと感じましたね。その辺は後で。

 

 

 

 

 

 

絶好の恩恵を授かったにもかかわらず大きな壁にぶち当たり、ニジガク一同は顔を曇らせつつも1枠しかない出場メンバーを決めようとしますが、何となくみんな中途半端に手を挙げたまま、遠慮笑い。それもその筈、同好会は以前自己主張でぶつかり合いバラバラになってしまった過去があるからです。

璃奈ちゃん愛ちゃんなんかはその辺りの経緯を直接見知っていた訳ではない、というか描写が一致していないのですが、4話でエマちゃん愛ちゃんにチラと同好会のこれまでの運びを語っていたところからお二人も何となく察知していた・・・のかな?

 

 

 

 

 

そんな様子を見かねて果林ちゃんは遂に溜め息を吐きます。衝突を避けて選んだ末が運頼み。

ピシャリと短い文で指摘する分、果林ちゃんの視点は常に俯瞰的です。歩夢ちゃんが妥協案として提案したくじ引きなんかをイベントの都度履行して、納得して自分の気持ちを誤魔化す。

果たして同好会は妥協を正解として前に進むべきなのか?と鋭く指摘しているわけです。

 

しかし考えてみれば、果林ちゃんエマちゃんから幾度となく同好会の話を聞いていたにしろ、なし崩し的に親友に協力したいという一心で以前から同好会に首を突っ込んでいたにしろ、彼女が正式に同好会に入ったのは一番最後なわけで、ぶっちゃけかすみちゃんせつ菜ちゃん辺りは「アンタ同好会のことロクに知らないくせに、黙ってろよ!」とも言えるわけです。だけどそれが言えないということは、果林ちゃんが指摘してる疑問は各々が内心自覚しているから強く反論できないわけでね。

ということは、いずれこの問題にぶち当たるんだというどこか将来的な不安を彼女以外のメンバー、かすみちゃんせつ菜ちゃんの衝突を知っているメンバーは特に感じながら、それを表面には出さず自分の理想のステージに熱中するフリをしていたんでしょう。いやフリじゃないな。かといって勿論全員が自分の理想のステージを逃げ道にしたかったわけではなく、いずれぶち当たる問題に真剣に向き合うために、まずは自分の土俵を固めておく準備期間を作っていた、というのが正確なところでしょう。

 

本当はみんな感じていたこと。考えていた問題。ニジガクにとっての命題3年生の上級生であり一番最後に加入した果林ちゃんが俯瞰的に指摘できる適任であるということは、周りが反論できないことで証明されてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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では更に視点を変えて、周りに過度に取り入らず、馴れ合いも控えめで、かといって自分のスタンスは崩さない。ニジガクを冷静に俯瞰する果林ちゃんって何者?という点の問いが、今回の9話なんですね。

 

スクスタや2次創作ではすっかりお馴染みになっていた果林ちゃんの方向ド音痴な一面、かわいいですねぇ。いつもは上品でクールビューティーな佇まい、読者モデルの撮影では大人顔負けのアダルティな色気と肉体美を恣にする彼女が、いざ撮影スタジオを出るとスマホ片手に困り顔。ギャップ萌えの王道やないですか。好き。

で、その様子を偶然歩夢ちゃん、侑ちゃん、せつ菜ちゃん目撃されてしまう果林ちゃん。いやまぁ別にいいんやけどどういう経緯でこの三人がオフ日に落ち合うことになったのか興味ありますね。十中八九せつ菜ちゃんの何かしらの情熱なお誘いイベントをお二人が断れなかったんやろなぁ・・・

 

 

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ダンススクールの場所がGoogle Map君をどれだけ責めても分からなかった挙句、恥を忍んで3人におずおずと協力を求める果林ちゃん。で、実際にどこにあったのかは・・・まぁこれを見たらお分かりでしょう。彼女の名誉の為に全ては言いませんよ。

 

 

 

「恥を忍んで」とは書きましたが、果林ちゃんは3人に実は方向音痴であることを指摘された時に、言い訳して誤魔化したりせずに恥じらいつつも素直に認めたんですよね。

それが何?と思うかもしれませんが、例えば果林ちゃん先の指摘のシーンを経たらプライドやプロ意識の高い思想の女の子だと思われるかもしれませんよね。誰しもに当てはまることですが、プライドの高い人ほど自分の恥ずかしい部分を見られると言い訳して隠したり、違う理由をつけてごまかしたりするものです。それを彼女はしなかった。自分が今まで他人に見せてこなかった恥ずかしい部分や弱い部分を、それも自分の一部だと自認した上で素直に打ち明けた。この「そうよ。悪い?」というのは開き直りみたいな返答。多くを語らず短くシンプルな自己評価こそが彼女の本質です。

この率直な自己評価があるから、3人に見つかる前に通行人に尋ねようとしなかったのも自分だけの力で一生懸命問題に向き合おうとする果林ちゃん本来のストイックで人一倍努力家であること裏付けてくれるんですよ。別に周りの人を信用していない訳じゃない。でもとにかく自分はこんな風に至らない部分があるから、常に一生懸命努力しなきゃいけない。そうでないと、自分で自分を信じられなくなるから。

 

実は個人的にこれかなりグッときたシーンで、彼女の人となりを論考していく際に重要な手がかりとなりました。本当にアニメ制作者各位はキャラ一人一人の機微や掘り下げにセリフ一つ取っても細心の注意を払ってるんだなぁと嬉しくなりますね。

 

 

 

 

 

 

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ダンススクールに通ってることが3人に知られたタイミングで、果林ちゃん同好会に対して思っていることを打ち明けます。この間の代表メンバー決めの時は言い過ぎてしまったこと。みんな思い思いのステージを思い描くのを見ていると、「負けていられないと思ってしまう」こと。

ここのゲーマーズのシーンのくだりでスクールアイドルグッズが並んでいるのを見て果林さんせつ菜ちゃんのグッズは無いのかと尋ねますが、少なくとも果林ちゃんにとってせつ菜ちゃんは今の同好会内でもトップに躍り出る実力があると睨んだ好敵手なんですよね。せつ菜ちゃんに限った話ではなく、他のメンバーも多かれ少なかれ果林ちゃんはライバル意識を持っているんです。だからといってツンケンするような、〇〇憎しの徹底したギスギスを好むわけではなく、ステージは誰しもにとって平等であることを常に意識した上で、自分を律し努力に打ち込む必要があると自説するわけです。

 

そう、ステージはそこに立つ者全てに常に平等なのです。読者モデルとしてスポットライトを独り占めしている果林ちゃんにとって、それは痛いほど、寂しいほどに伝わってきていたもの。ひとたび舞台への階段を上ればそこから先はワンマンプレー。それ故にステージに入れ替わり立ち替わりする誰しもに引けを取らない、観る者全ての記憶に残る圧倒的な「支配の爪痕」を遺す必要がある。その為に、必要なものは全て自分で準備しなければならない。努力を欠いてはならない。そういう風に、他のメンバーが知らないところで"ソロ活動"していたのではないかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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果林ちゃんは、別に他のメンバーと馴れ合うのが本当に嫌いなわけではないと思うんですよ。まぁ5話「騒がしいのは嫌いなの」と言っていたように確かに一人で行動するのが好きな部分も少しはあるとは思いますが、かすみちゃんとの冒頭のやり取りを見れば、そこまで人付き合いやコミュニケーションに難がある人とは思えません。しずくちゃんのように人と関わることで人との差異に自分が傷つくことを恐れているわけでもありません。

 

 

 

 

 

 

 

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彼女は「手を抜けないと思ってしまう」と言いました。でも果林ちゃんはステージに立つ者は皆平等だと思っています。いざステージ本番当日、出演控えの時間で姫乃ちゃんと対峙した際も同好会知名度や学園のスクールアイドル人気なんかの比較材料での優劣を持ち出さずに正々堂々と戦う意志で一歩も退きません。

 

今回のステージの問題で一番真摯に受け止めて考えてくれていたから、と果林ちゃんニジガク代表として出演者に選出されます。そう、彼女は常に真剣なんですよ。手を抜けない。同好会メンバーそれぞれが思い描くステージの素晴らしさを知っているからこそ、そしてそれを素晴らしいと認める自分が常にいるからこそ、自分が彼女らに匹敵、いや凌駕できる自分になる為に人一倍努力しなきゃいけない。自信を持てる自分になりたいと常に強く願って行動しているのが果林ちゃんなのです。

 

 

 

 

 

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彼女は常に現実を見ている。これまでのメンバーの担当回は主に自分の思い描くステージを幻想郷として表現している向きがありましたが、これは現実で用意された、自分が求めて用意したステージでなく他者たちによって設けられたステージです。

現実のステージ、現実の自分。自分はこのステージに臨む為にどれだけ準備しただろう。努力を積んだだろう。思い出して、反芻して、確認して、着飾る衣装に思いを詰め込んで。そんなルーティンを舞台裏でどれだけ繰り返しても、人は緊張するものです。ステージがいくら平等であっても、見てくれる観客が常に平等とは限らない。

今まで体験したことのない大勢の歓声、込められる期待、様々な目線。カメラの前でシャッターを切られるだけだった果林ちゃんには、常に絶やさない現実的な視点も相まって、その全てが未体験の連続です。ましてや今回の彼女は、観客の全員がスクールアイドルというものを知っているわけではないという状況のうえで、学園の名をただ一人で背負って立つ大一番。彼女がプレッシャーを感じずにはいられないことの状況証拠には十分すぎるでしょう。たちまち先程までの自信は虚勢になり、武者震いは冷や汗に変わる。これは果林ちゃんに限った話ではなく、現実のアイドルだってみんな同じ、一度は通る道です。

 

そして何より恐ろしいのは、一度自信に暗雲が泳ぐと人は無力にもみるみる青ざめてしまうということ。

 

 

 

 

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自分が今まで堂々と誇ってきた自信が、無駄になるかもしれない。

その自信を信じてくれて推してくれた人たちの期待を、裏切ってしまうかもしれない。

 

もしかしたら、自分はまだ「足りない」のしれない。

 

先の見えない努力ほど掴み所の無いものはありません。だけど人はそれまでの自分の努力を強く証明する為に、自信という矛で虚飾します。それが俗に言うプライドというものであり、そして時にそれはその人の生き様を自分で縛りつける自責にもなり得る。

 

だから本当はみんな、弱いままなんです。嘘っぱちを着飾って、その時が来るまでしょうもないプライドで本当の自分に仮初の証明書を貼り付ける。でもいざその時を迎えると、その証明書に何の論拠も無いことが浮き彫りになる。誰も救ってくれないことが分かる。

 

 

 

 

「ビビってるだけよ。」

最高にカッコいい開き直りですよね。方向音痴のせいで迷子になったのを懸念して探しに来た同好会メンバーに対して、「いやあれだけ自信満々やったやん」とツッコまれるのを覚悟したうえで、やはり果林ちゃんは自分の弱点を素直に自認する。自分のプライドが虚勢と虚飾で溢れていたことを自嘲するその表情があまりに愛おしい。どれだけ抜群のプロポーションを持っていても、どれだけ人知れずダンススクールに通ってダンスに磨きをかけていたとしても、ステージは平等に、そこに立つ者を襲う。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だよ。」

 

 

 

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エマちゃんは言います。5話でそう言って抱きしめてくれた時のように。

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことないですよ!」

 

 

 

 

 

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中川菜々、否、優木せつ菜ちゃんは言います。

一人きりのステージがどれだけ重く冷たく辛いものかを、彼女は知っているから。

 

 

 

メンバー全員、果林ちゃんを責めたりなんかしません。それは果林ちゃんに努力を常に怠らない、失敗を恐れる弱い部分があるという一面を既に知っているからというのも勿論ありますが、果林ちゃんが背負っているステージは、同時に虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会メンバー全員も背負うべきステージであるから

そりゃあ勿論、みんな本当はそこにステージがあるなら自分こそがステージに出たいと思っている筈です。だけど同好会メンバーは、既に朝香果林という女の子の「努力の蒔いた種」をみんな感じている。果林ちゃんが本当は人一倍たゆまぬ努力の末に大人びた誇りの上で辛うじて立っていることを知っているのです。そんな彼女を見て、同好会メンバーが思うことは一つでしょう。

 

ライバルだけど、応援もしたい。でも背中を押したままじゃなく、対等に並び立ちたい。もう、お分かりですよね。

 

 

 

 

 

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今回のこのお話は、ソロライブMVが現実のステージという点も含めて、璃奈ちゃんのお話とも少し共通していますね。自分の弱点を理解し、周りに知ってもらった上で、自分の叶えたいステージに真摯に向き合う。

なので少なくとも璃奈ちゃんだけは絶対に果林ちゃんを責められないんですよ。自分の足りないものを、現実で人と関わることで日々痛感してしまう。璃奈ちゃん果林ちゃん、学年もパーソナリティこそ大きく違っていますが本質はやはりお二人とも至って普通の、10代の多感な女の子なんです。大事な時こそ璃奈ちゃんボードを付けずにface-to-faceできちんと目を見て意思疎通しようとする璃奈ちゃんは、果林ちゃんが弱点を言い訳せずに自認するのとほぼ同じ動機だと思いますよ。

 

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それと同様に、エマちゃんだって。エマちゃんは出逢ったその時からずっと「人気読者モデルの朝香果林」ではなく「ニジガク3年生で部屋が散らかり気味の朝香果林」として見続けています。本当の彼女が彼女らしくいられるのを願って、エマちゃんは彼女だけの為のステージを表現しました。自分で自分の「キャラ」を追い求め、他者に本当に求められてるのかどうかも分からない仮初のキャラ果林ちゃんが自分を縛って、偽って明後日の方向に目を逸らし続けるのが悲しかったんだと・・・5話を観直してみると改めて二人の関係と深い信頼がより色濃く分かりますね。

 

努力は裏切らない、という言葉が真実か否かで論争がしばしば起こりますが、こと虹ヶ咲に至っては、それは華道として迎えられます。

大丈夫だよ、果林ちゃんステージの景色の中で、説き伏せる者も、押し倒す物も何も無い。一人なんだ。だけど独りじゃない。

前回のしずくちゃんのお話は独りの自分の中の二つの正しさを自分自身で証明するという向きの掘り下げだった為に、この果林ちゃんのお話は「ステージ」「独り」というテーマを虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会というソロ活動のスクールアイドルたちにシフトして解き進められているのが本当に鮮やかですよね。そしてそれが出来る女の子はもう彼女しかいないわけで。

 

 

 

 

 

 

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かすみちゃん「パワーを分けてあげる」とハイタッチを提案しました。

メンバー各々、その人その人の掌の温もりを感じると同時に、見えないバトンを全て受け取って、その人にしか持ち得ない特色や長所を吸収して、しかしそれをプレッシャーとして背負わずに、果林ちゃんはステージに進みます。

 

 

歩夢ちゃんの大切な人の為に一歩ずつ進む献身と、

 

かすみちゃんの自分の全てを自分で受け入れ、肯定してもらう欲深さ、

 

せつ菜ちゃんの周りを圧倒させてしまう程の強烈な「大好き」の火力、

 

愛ちゃんのステージも観客もボーダーレスにして一つの時間を全力で楽しむ無邪気な好奇心、

 

エマちゃんの誰か大切な人にとっての安寧な居場所となれるような包容力、

 

璃奈ちゃんの自分の弱点を特長に変えて観客に訴えかける訴求力、

 

しずくちゃんの裏表問わず自分の全てをひけらかして演じることでステージを我が物とする支配力。

 

それら全てをきちんと受け止められたかどうかは分かりません。ですが、朝香果林は立ち止まらない。ステージの魔法に絆されないように、支えてくれた人に礼儀正しく、折り目正しく。返す方法はただ一つ、及び腰の無いパフォーマンス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ソロ回大トリの最後を飾る果林ちゃんの曲は、激しめのダンスミュージックでありながらどこかポップなメロディも併せ持つ強烈な一曲「VIVID WORLD」

 

いやぁ、眩しい。青系統のスポットライトが強烈に飛び交うステージに、全く引けを取らない蠱惑的なステップとボディラインを最大限まで意識した優美なダンス。自分の長所である抜群の肉体美だけでなく、レーザービームが入り乱れるイメージ映像ではまだ未熟な女の子であるかのような少しあどけない表情も見え隠れするのが抜群に良い。

すげえ、BiBi Guilty Kissとはまた違った色使いもできるのか・・・ラブライブ!女の色気の使い方を熟知してやがる。

 

強烈なスポットライトやレーザービームの陰は対照的に黒や真っ暗で統一されているのは、彼女が自分なりの光をしっかりと認識した上で、暗くて自信の欠けた部分もまた傍づいている、というようにも思えます。

 

 

 

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果林ちゃんは読者モデル経験者で、彼女自身それに関しては自信を持ってやっているようにも思えます。ファッション誌だらけの部屋で寝てたり、インタビューに積極的に答えたりね。

 

ということは、彼女にとってはスクールアイドルという大勢の観客の衆目に一度にさらされるということは、どちらかと言えば不慣れな部類かもしれません。とするとステージ脇で震え上がるのも仕方ないといえば仕方ない。生きてる世界が違うんですからね。

 

そう、世界が違うんです。住んでる界隈が違うところに、常に真正面から飛び込んでいるから、不安にもなるし、時に周りに言い過ぎたかなと後悔もしてしまう。

 

だけど彼女が虹ヶ咲学園で新たに飛び込んだ世界は、どんな彼女であっても否定しない居場所だった。方向音痴でも、豪語する割にプレッシャーに打ち負ける女でも。

みんな誰しも、弱点の一つや二つ持っているものです。無くて七癖、なんて言うようにね。そこにつけ込んで、徹底的に落とし合う世界にもし今まで果林ちゃんが浸かっていたとするのなら・・・お互いの弱いぶぶんを理解し合い、否定せずして補おうとするスクールアイドル同好会は、彼女の目にどう映ったでしょう。どう思ったでしょう。セカイを、どう認識し直したでしょう。

 

 

ううん、既にそれは語られています。この9話の一番最初に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★まとめ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そういう付け加え方はズルい。

 

姫乃ちゃんの本懐が「ステージに臨むプレッシャーで激推し果林さんを焚き付けて、更に飛躍的に向上していく様を見てみたい」というものなら許せる・・・とはあまり思いたくないなぁ。同好会潰しが目的でも、果林ちゃんへの煽りが目的でも、どちらにしても割と結構魔性の女だと思うんですよね。

恐らくそういう腹黒い部分への自覚こそ無くて、「憧れの果林様のスクールアイドルとしての一面も見てみたいけど、やはりお台場代表のスクールアイドルとしてケジメは付けとかなきゃ> <」みたいな姫乃ちゃんなりの好きなものに対しての礼儀正しさが溢れ出た結果での二重人格だと思います。思いたい。まぁもしそうだとしたなら藤黄学園のステージは少なくとも映像化してほしかったですなぁ。プレッシャーを与える側に説得力が無いと、このフェス代表に果林ちゃんが選ばれた理由がかなりメタな予定調和感が増してしまう。

要は、煽るんなら煽れる程のパフォーマンスを見せてくれよなって話です。んーでもそこはあくまで彼女らはゲストキャラであって、Saint Snowのように共闘するような流れを作るのがアニメニジガクのメインストリームでは無いと、これまでのアニメのストーリーラインを見ると分かるのでまぁ不問としますよ。

ま、スクフェスで登場していたこれまでに他媒体に日の目を全く見なかった転入生がテレビの画面で観られたのは大きな一歩ですからね。何なら今回、東雲学園スクールアイドル部全員描かれる立ち絵用意されてますしね。あんまりラブライブ!らしいスクールアイドルの伝統や観念を揺るがす程のお話にしない限りは今回のゲスト闖入は不問とします。

え?いや別に・・・20とか章とか誰も言ってないじゃないですか。何の話してるんです?

 

 

 

 

ま、それはともかく。総評ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回第9話、総評としては、

 

 

100点です。

 

 

 

 

今回のストーリーは、果林ちゃんが読者モデルとスクールアイドルの二足の草鞋を履いて活動する上で、果林ちゃんの掘り下げと共にスクールアイドル同好会のメンバー間同士の関係性という突っ込んだところまで読み進めていました。果林ちゃんだけが現実のステージとして真摯に向き合った時に生じる最初で最後の課題点、一人でステージに臨まなければならないというニジガクの脆弱性にただ一人きっちり真正面から問いかけた上で、そういう自分もまたステージの一人でのプレッシャーに耐えられるわけではないという至って普通の女の子として自覚して、自嘲して、臆していた部分を恥じらうことなく描いていました。

 

だけど同好会メンバーはそんな果林ちゃんを否定せず、誰しもが感じている不安だと理解し、自信の足りない部分を補うかのように果林ちゃんに分け与えました。ステージに一人で立つけど、今までずっと独りだったわけじゃない。支えてくれて否定せず、だけどやっぱり奪い合おうとするのは、お互いに信頼を置く絆が生まれたからこそできた場所。「仲間でライバル」その仲間意識の両立をミクロ(果林ちゃん)からマクロ(同好会)に鮮やかに変換することができたのは、トリを飾った果林ちゃんでなければできなかった話だったと思います。

 

 

過去の果林ちゃんが実は〇〇で、だから今彼女はこういう動機でこうしていて、という掘り下げは名作回に必ずしも絶対必要というわけではありません。そんなことをせずとも、果林ちゃんは1話目からニジガクに関わっていますから、既にそれなりに人物像は見えています。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の最初で最後の課題点に必要なピースを、果林ちゃんを通してしっかり証明してくれた。

本当の朝香果林と共に、本当のニジガクの朝が来たる回として、9話は文句つけようがない100点です。いやぁ、まさかここまで向かう所敵なしってくらいにまで神回を叩き出してくるともう何の懸念材料も無いですねぇ。μ’sAqoursに去来する、スポ根要素によってキャラの行動が捻じ曲げられていくという心配もなく、あくまで一人の女の子の一つのドラマとして一話完結型ベースに繙かれるのは安定して感情移入できて、心を鷲掴みにされます。

ソロPVもどれぐらい前から準備してたんだってくらいクオリティ高いですもんね。

 

 

 

 

 

 

 

これはまぁ・・・比べられても仕方ないよね。

何とは言わないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さぁ、役者は揃った。極彩色の光に彩られ、ときめきは銀河を邁進す。

 

誰にも邪魔されず、しかし誰かの励みになる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いとふゆ

    

 

 

 

 

        (11700文字)

 

 

 

                                      written by Sunny Road

 

 

 

 

 

 

 

前回、第8話の感想記事はこちら↓

 

 

https://elysia-sunny.hatenablog.com/entry/2020/11/28/113423