Sunny Record

アニメラブライブ!の、私見会場です。

アニメラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第11話「みんなの夢、私の夢」感想〜釵は鈍〜

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鴛鴦は瓶の中に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちはおはようございますこんばんは初めまして毎度どうも、Sunny Roadと申します。以後お見知りおきを。

 

 

それでは、今回もアニメラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第11話の感想をサクッと書いていきたいと思います。

本来は今までと同じく一日かけて(徹夜もして)ブログを拵えるつもりだったのですが、今このブログを書いてるほんの少し前にかなり予定外の出来事があって大幅に書く時間をロスしてしまったので、今回は要点を抑えつつサクッと!書き上げられたらいいなと思います。どうせ嘘になるだろうけど。稚拙な奴ほどよく喋る。はっきり分かんだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本ブログは、私Sunny Roadが自分の力の限りを尽くしてアニメラブライブ!を徹底的に私的に解説するだけの100%個人的見解記事です。本文全てにおいて一切の説得力および責任を有しないことを同意の上、斜め読み程度にご覧くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さて、今回の11話では前回10話に引き続き、侑ちゃんが打ち立てた新たな目標であるスクールアイドルフェスティバルの開催に向けて準備や交渉を進めるといった回でした。10話の時点の侑ちゃんの構想では「スクールアイドルを愛する人全てが楽しめるステージを作りたい」と述べ、まだ漠然とはしていますがこれだけでもかなり壮大な計画なのが目に見えて分かります。

このアニメ虹ヶ咲の世界観設定でいうところのスクールアイドルというものが一体どれほどの規模で流行っているのかはほぼ明言されてないというか、このアニメのシナリオを動かす為の明確な指標とはあまりなってないようで。強いて言えばせつ奈ちゃん知名度だったりかすみちゃん知名度だったり動画サイトでのPV再生回数だったりが判断材料になるのですが、そんな外部からの評判よりももっと近くに突破しなければいけない関門があるんですね。それが・・・

 

 

 

 

 

 

 

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内心ノリノリの碇ゲンドウやめろ。

 

ま、生徒会ですわな。巨大マンモス校である虹ヶ咲の何百もある部や同好会の中の一つとはいえ、スクールアイドル同好会も例外ではなく大規模フェスの企画・開催ともなれば当然お上の許可が要るわけですわな。まぁ企画書みたら学生レベルここに極まれりと言わんばかりのふわふわ文体企画概要で苦笑いしちゃったけど・・・

ご存知の通りここの生徒会長は中川菜々=優木せつ菜であり、事実上スクールアイドル同好会の内通者でもあるわけですからどうひっくり返っても承認できるじゃーん!・・・というわけにはいかないんですね。中川菜々=優木せつ菜であるということは(何でバレてないか不思議レベルの変装だけど)一応秘密ですから、こと生徒会室での企画交渉の場ではあくまで中川菜々として中立の立場を貫かなければいけない身・・・なはずなんですけどせつ菜ちゃんあんた全肯定する気満々だな。なーにが「それは面白そうですねぇ」だよ。あのフワフワ企画書のどこに前向きに検討出来るだけの信頼感があんだよ。そんなんだからラブライブ!のシナリオは安っぽいシナリオだとかたった一章更新されただけで今までの全てがクソゲーになったとか揶揄されるんだよ。いや僕は・・・何のことか分かりかねますけど。

 

まぁ彼女のウキウキはさておき、かすみちゃんが自分のスクールアイドルとしての知名度に全幅の信頼を置いて交渉に差し掛かるの、人選の悪いこと悪いこと。これ実は地頭も良いと噂されてる愛さんとかの方がフレンドリーなコミュニケーション能力も加味して妥当な人選だったんじゃねぇの。いやでもダジャレとかかましたらふざけてると捉えられかねいかなぁ。

そもそもかすみちゃんが選ばれた理由・・・は同好会部長(自称)だからでしょうか。せつ菜ちゃんが事実上同好会活動としてのまとめ役を担ってきていたのがこういう場面で裏目に出るとはね。侑ちゃんも困った顔してたのは珍しく手面白かったですね。生徒会メンバーがこんなトンチンカンなネゴシエーションでよくもまあ「話にならねえ出てけ!」と全否定しなかったもんだ・・・楽しそうでとても良い、だけど企画概要に改善の余地ありとして一度は穏便に引き下がってもらうという大人すぎる対応ができているのはすごい。ただ全否定をしない生徒会というのは今までのアニメラブライブ!シリーズとして新しい存在感を引き出したかったのかもしれませんね。今までのラブライブ!の生徒会、大体私情でスクールアイドル否定してきたから・・・

 

 

 

 

 

 

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何だっけこれ・・・こんなん家にあったな・・・何だったっけ・・・

 

って本放送視聴後ずーっとぼんやり考えながら部屋ゴソゴソしてたら、思い出したそうだこれグラフィグだ。

キルミーベイベーのDVDの特典で付いてたやつだ。素材は段ボールじゃないですけどね。ふふん、後に発売されたBOXじゃなくてバラ売りの方ですよ。再放送、いつか出来たらいいですね。さすがにコ、、ンは無理か・・・

 

 

 

 

かすみんBOX、ですっけ?今までのアニメラブライブ!シリーズのリクエストBOXの継承も踏まえながら今回の「表向き」の展開に大事なポイント、みんなの意見を取り入れて一つのステージを作るということですね。侑ちゃんはここにかなり注力するわけですが、今までの9話分での侑ちゃんメンバー一人一人、各々のスクールアイドルひとりひとりがそれぞれ違った特長や表現を持っていて、それら全てを叶えてあげられるような一つのステージを作りたいと、侑ちゃんは願っているわけです。かすみんBOXは最初すっからかんですけど。

このアニメラブライブ!というセカイにいる全てのスクールアイドルとそのファン全ての持つ十人十色・千差万別の違いを願いに変えて、一つのステージに込める。一人一人違くて、それを否定したくないのに、一つのステージに集める必要があるという考えの元企画を進める為には、そのステージを行う為の会場が非常に重要な案件になってきます。今回の11話ではその辺りにかなり難儀してて、スクスタのメインストーリー「スクールアイドルフェスティバルを自分たちの手で実現させてみせる」というストーリーラインにも被せてきているんじゃないかとも感じました。

勿論これは初見さんには伝わらないオマージュでもありますが、アニメラブライブ!シリーズを追ってくださっていた方々はほんの少し理解が深まったのではないでしょうか。

までアニメ作中で誰がどんな主導を持って開催されていたか分からないラブライブ大会の開催・運営の部分がありましたし、スクールアイドルの大会を主催する側となる時に立ちはだかる関門や苦難がこういう形で描写されるというのは斬新だと思います。やはり侑ちゃんという今までのアニメラブライブ!の中では異質な存在が参入してきているのがシナリオ全体を通して影響しているんでしょうね。

 

 

 

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任侠かな?

 

これ初見さんにヤ○ザの事務所シーンだって見せても納得されるでしょ。

 

Twitterでは他にも雀卓、丁半、羽生善治、警察モノドラマなどなど、侑ちゃん愛さんのしかめ面とボーイッシュ(というかちょっとオッサンくさい)なポージングや熟考がウケてましたね。どうせ侑ちゃんLARKかアメスピ咥えたコラ画像とかすーぐ出回るんだろ・・・と思ってたら流石にそこはアイドルアニメなのか、なかなか見かけなくて何となくホッとしました。いやいや、実際は先述の会場決めに悩むシーンですよ。

 

 

 

 

 

 

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堕ちたな(確信)

 

いや元々堕ちてたんやけど。

前回のブログでもチラッと書きましたが、自分は軽率な百合カップリング描写は、何というかキャラを軽んじてるなぁと思っちゃってあまり良しとしない意向だと述べました。

が、まぁ今回に限ってはこれくらいの描写程度ならかなりソフトに見えてくるのでぎゃあぎゃあ騒ぎませんとも。後にもっと巨大な感情で迫ってくる女の子がスタンバイしてるんで。

周辺のスクールアイドルにフェス開催に向けての協力を仰ぐ、という場面でしたね。もうすっかり懇意となっている藤黄学園の姫乃ちゃんですけど、これに限っては人選が的確すぎる。何この差。もしかして姫乃ちゃん果林さんガチ恋強火勢だったの、周知の事実だったからなの・・・?めちゃくちゃ虚勢張って対等なライバル演じてた9話の彼女が後で布団に顔うずめて発狂するやつじゃん。

 

 

 

 

 

 

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しかしまぁ璃奈ちゃんの成長はオタク心をくすぐるなぁ。まさか初期からこんなに奇抜な色物キャラの見た目だった女の子が、実はオタク陰キャの人付き合いに敏感な機微をこうも鷲掴みにしてくるなんて、思いもしなかったでしょう。

すっかり打ち解けるようになったクラスメイト、でもあり焼き菓子研究会の部員でもあった色葉ちゃん今日子ちゃん、浅希ちゃん

モブクラスメイトは数字の入った名前が三人、というアニメラブライブ!シリーズの隠れた伝統は少し体系が変わり、今回はいろは歌が名前の由来。何てったってアイドル(アニメ)ですからね。というか焼き菓子研究会って・・・お菓子研究会とは別なんですかね。どういう派閥分けがされてるか謎ですが、生徒会はこんなに細分化された部や同好会を認可してナンバリングしていると思うとスクールアイドル同好会があっさりと廃部になって新規同好会が部室をリユースしていった理由が何となく分かる気がします。

 

それはそれとしてここの璃奈ちゃん、相手の目を見て感情が顔に表せない分人一倍努力して真摯にコミュニケーション取ろうとしている描写が凄まじくグッとくるよね。シーン描写としてはフェス開催の宣伝に向けてせっせこ頑張る璃奈ちゃんに3人が差し入れを持ってくる、というものですが、こういう何気ない描写に大いに意味を持たせることができるというのはやはり6話キャラの特徴の理由付けやそれに伴う心情描写を丁寧に掘り下げているからなんですよ。各々が各々の方法で一つの大きな目的に向けて活動していくシーンを設けているだけでなく、それまでの1〜9話までで散りばめたメンバー一人一人の「気付き」や「成長」を10話以降でさりげなく、しかし着実に結実している描写に変換されていくという流れが、もう心鷲掴みにされちゃいますね。スクールアイドルである前に、一人の女の子として日々頑張ってんだなぁ。ニコッと笑えなくても、伝わる。それが出来たら、何だって叶えられるくらいの力が湧いてきちゃいますよね。

 

 

 

 

 

 

 

さて・・・。いよいよメインディッシュに取り掛かりましょうか。別に目を逸らして、敢えて書こうとしなかったわけじゃないですよ。しっかり前座で暖めてからにしよっかなって。

 

 

 

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今回11話のサブタイは「みんなの夢、私の夢です。珍しくアニメのサブタイ表記に↑のように丁寧に色分けされてまで今回のお話の側面の部分を二分割していました。さっきまで自分が書いたのは「みんなの夢」の部分です。それではここからはいよいよ「私の夢」の方について、サラッと書こうかなと。勿論、この「私」とは今回かなり巨大な感情で文字通り侑ちゃんに覆い被さった張本人、上原歩夢ちゃんのことです。

 

 

 

 

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侑ちゃんがみんなの願いを叶えるステージに向けて試行錯誤していく様を、他の同好会メンバーとはかなり違った温度差で静かに見守っていた歩夢ちゃん。会場決めの際、侑ちゃん歩夢ちゃんにアイディアを振った問いかけにも、主体性のある答えは濁したまま、困った顔をするだけ。

 

それもその筈、歩夢ちゃんは前回10話で侑ちゃんせつ菜ちゃんとかなり(物理的にも)距離が縮まっていたのを見て非常にショッキングな面持ちをしていました。そして自分は前回のブログでその描写について、「一緒にスクールアイドルを追いかけるきっかけとなった"憧れ"である女の子とも急激に距離が接近していて、置いてけぼりのように感じてしまった」という旨を書きました。

 

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ですがまぁ・・・今回、侑ちゃんが泣きつくかすみちゃんの頭を撫でる姿をピント外から呆然と眺めてたり、バス停で侑ちゃんだけが別の場所へ向かって一人になるシーンだったり、今回のラストのシーンとかをかなり表面的に、露骨に押し出して描写しているのを見て、

 

「ああもうこれは、歩夢ちゃんは侑ちゃんに友達や幼馴染以上の感情を持っているんだな」と判断せざるを得ませんでした。

 

ただし、これを百合かどうかと問われればかなり首を捻るところです。勘違いしないでほしいんですが、別に頑なに百合を認めたくないわけではないんですよ。その辺りも踏まえて、ざっくり書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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そもそも、自分は百合が嫌いなわけではありません。女の子が女の子を好きになる、それが片思いであれ両思いであれ男がほぼ存在しないアニメの世界観としてはうってつけで、女の子が女の子同士でキャッキャウフフするというのは男の自分からしてもとても心身に優しく、心安らかに喜ばしい気持ちになりますよ。それは正直に認めます。

でも唯一自分が嫌なのは、キャラ同士を安易にくっつけて、抱き合わせにして観てる側に媚びを売ってるのが露骨なのが嫌なんですね。めんどくせーな、と間違いなく思われるでしょうけど、これは百合に限ったことじゃなく、BLに関しても同じ印象を抱いています。だから恐らく自分は理解の無い腐女子様とは一生分かり合えないでしょう。姉曰く特に女オタクに言えることだがキャラ同士をくっつけて絡ませるのがとにかく好きとのことですが、人間ってそんな軽々しい人形じゃないんですよ。

自分は画面の中のキャラクターを、一人一人芯のある人間だとかなり意識して想っています。自分自身SS書きをしていたりしたので別に二次創作にまでそれを持ち込んだりはしないですが、「公式」と呼ばれる母体がそういうファン同士で楽しむ為のお人形遊びを軽々しく露呈してしまうと、キャラクターを蔑ろにされてる気分になるんですよ。感情論みたいになってますけど、人と人との気持ちの交わりって、そういう簡単なもんじゃないやろと。

 

 

 

 

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で、そういう目線でアニメを観続けてきた自分から言わせてもらえれば、今回の歩夢ちゃんは今までのアニメラブライブ!の軽率な百合描写とは一線を画して、飛び越えてきています。

端的に言うと、この11話までポツポツと些細なシーンで散りばめてきていた「侑ちゃんだけを見て歩を進めていた」という巨大な感情が爆発するにふさわしい描写だったと評しておきます。百合ソムリエみたいで気取ってるんじゃなく、純然たる評価です。

 

今回の歩夢ちゃんは、所謂アニメラブライブ!幼馴染友情すれ違いシリーズの後継です。1期10〜11話にかけて丁寧に描写されているのが一致している辺り、恒例というかお約束というか、様式美みたいな感じでファン共々理解してイジってきました。穂乃果ちゃん・ことりちゃん・海未ちゃん幼馴染三人組しかり、千歌ちゃん・曜ちゃん・梨子ちゃん新旧ソウルメイトしかり。

 

しかし今回の歩夢ちゃん侑ちゃんのお二人の幼馴染の関係は、この11話では特に歩夢ちゃんが侑ちゃんと同好会に入って以降巨大な感情を募らせながら持ち合わせていたのが確認できます。それが「私だけの侑ちゃん」です。これに関してはぶっちゃけ自分もかなり驚きました。はっきりと、口に出して、自分の中の幼馴染への気持ちの大きさ捉え方を独占欲にして伝える行為をやってのけたというのは幼馴染シリーズとしては初です。今まではアニメ作中での描写は主に「近しい関係であるからこそ、素直な思いを口に出せない」というのが常で、その都度視聴者ファンが思いを汲み取って補完している部分が大きかったように思えますからね。

 

 

 

 

 

歩夢ちゃんは、侑ちゃんを独占したい。幼馴染としての特別な想いが侑ちゃんに対して明確にあると、面と向かって伝えた。ことりちゃんにも、曜ちゃんにも出来なかったことが、遂に第3世代の歩夢ちゃんがやってのけた。ではこれはもう間違いなく百合なんでしょうか。幼馴染でいつも一緒にいるから、女の子だけの世界だから、歩夢ちゃんは侑ちゃんのことが好きなのか。

 

 

 

 

 

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自分は違うと思います。少なくとも、女の子と女の子をくっつけてキャイキャイさせるだけの軽いものじゃない、もしそれを百合と形容し定義するのであれば、歩夢ちゃん侑ちゃんに抱く感情は百合なんかよりももっと巨大な感情です。今回、視聴者さんの多くが「歩夢ちゃんの愛が重すぎる」とか「メンヘラ幼馴染」とか、かなり重めの表現で端的に言い表してる方が非常に多い印象を受けたんですが、巨大な感情を持つこと自体はそこまで特異ないものではないと思うんです。人が人を思う、と捉えれば誰しも一度は経験したことのあるのでは。

 

例えば仕事場に目上の人がいて、別にその人としょっちゅう揉めてるわけでもないけど、何となくその人に一日中気を遣いながら仕事する。あの人を怒らせないように自分はどう振舞って、どこで何をいち早く用意してあげて・・・みたいにずーっと考えっぱなし。これもまた巨大な感情のひとつとも言えましょう。この場合、要は考えすぎってことなんですけどね。

 

上のはあくまで一例ですが、例えばこの場合何故こんな「人が人を想う」ことが起こり得るのかというと、引け目を感じていることから「自己認識の低さ」というのが根底にあると睨んでいます。つまり、「自分や相手が平凡か、特別かを意識すると人は人を想うようになる」ということ。ここまで突き詰めると最早「何故人は人を想うのか」みたいな哲学めいた思想になってきますが、そんな深層心理的なとこにはいかず、かつかなり分かりやすく、今回と同じように百合をテーマにして繙いた作品を自分はアニメで以前知りました。

 

それがやがて君になるという作品です。

 

今回の歩夢ちゃんの心中を正しく視るにあたって、この作品には助けられた部分があります。そういえばこの作品の主人公も「侑ちゃん」ですね。おやおや〜?これはかなり意識して作られたのでは・・・なんて。そういえばアニメ版の脚本は花田十輝さんですねぇ。この作品では誰かを「特別」に見られない小糸侑ちゃんと、自身に嘘を塗り固めた挙句嫌いになった自分が他者の好意を認められないコンプレックスを抱えた二人の女の子のお話です。二人を渦巻いていく感情の分析の描写がすごく丁寧で、これこそが正しく百合を描いた作品の正統なんじゃないかなと思える素晴らしい作品です。興味がそそられた方はぜひ。

 

 

 

 

 

 

 

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誰かを特別に想う。好意というのはかなりカロリーの使う行為だと思います。愛さんギャグ。だからこそ人は今までそれを特別に、色んな形で表現してきました。対等でも不平等でも、どんな意味であっても。

こうやって重く受け止めて考えすぎるから陰キャは奥手なんだとツッコまれがちですが、そのくせ作品の中の感情はすぐメンヘラと揶揄するってもんだ。

まぁそれはさておき、誰かを特別に想うということは上述の通り、恋愛や百合に限ったことではありません。歩夢ちゃんが今回抱いたその感情が恋愛感情かどうかはさておき、何故彼女が11話にしていきなり、しかし着実なまでに・・・彼女の普段の様子とは考えられない程激しく感情を爆発させたのでしょうか。何故11話の今になって。

 

 

 

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「せつ菜ちゃんの方が大事なの⁉︎」と彼女は強く訴えました。この言葉に裏付けられる意味合いは勿論「もっと私のことも見てほしい」です。これをどう受け取るかはともかく、重要なのは彼女にとってもせつ菜ちゃんが特別な存在であることが裏付けられているからです。

 

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侑ちゃんに訴えかける直前のシーンで、せつ菜ちゃん歩夢ちゃんがそぞろ歩くシーンがありました。11話を見直せば見直すほど、これまたシナリオの人性格悪いなぁと思っちゃうくらい露骨に二人を当てがってますよね。10話で侑ちゃんせつ菜ちゃんとより懇ろになってるのもそうですが、侑ちゃんに関わらず歩夢ちゃん自身にとってもせつ菜ちゃんは自分がスクールアイドルを始めるきっかけとなったスクールアイドルです。歩夢ちゃんだけがせつ菜ちゃんのことを一定期間までせつ菜さんとさん付けして呼んでいたのがその証拠で、侑ちゃんが隣にいるというのもさることながら彼女にとってやはりせつ菜ちゃんはスクールアイドルをやっていく上での一番身近で、されどまだ遥か遠い憧れです。

にもかかわらず、侑ちゃんも同じく彼女のステージに魅了されたにもかかわらず、侑ちゃん優木せつ菜という女の子はもう「特別」でないかのように笑い合っている。歩夢ちゃんの心に渦巻く気持ちは、スクールアイドルファン初心者同士としての疎外感です。そう、歩夢ちゃんにとってステージを観る時間や空間というものは、あの1話以来それ程までに特別な意味を持っていたはずなんです。なので歩夢ちゃんせつ菜ちゃん嫉妬していたかと言われれば微妙に違います。寧ろこの時の彼女にとって重要なのは侑ちゃんと仲良くしてるのが誰なのかではなく、やはり侑ちゃんがどんどん交友を深めていっている事実そのものに焦りを感じている。何度も書きますが、自信の無い嫉妬は嫉妬とはいえません。

 

侑ちゃんは、自分のステージでさえ正式に彼女に披露できていないのに、せつ菜ちゃんどころか全スクールアイドルとそのファンが織り成すステージのことを考えてしまっている。

 

10話でも書きましたが、侑ちゃん歩夢ちゃんが思っている以上に一足飛びでスクールアイドルにのめり込んでいる。それどころか今まで「観る側」に徹していた高咲侑は、いよいよステージを「作る側」にまで手を出し始めた。

それが歩夢ちゃんの誤算です。

これに関しては別に特別な感情無しでも疎外感は抱くでしょう。今まで一緒に仲良くやっていた友達がいきなり今までと全然違うことをやり始めて、それが軌道に乗って大活躍・・・「お前、一体どうしちまったんだよ?」と問いかけるのは、映画なんかでも見かけることあると思います。

 

自分が一番よく知っていたはずの知己が、急激な勢いで変わって、先んじてしまう。

 

 

 

 

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このシチュエーション自体がよく見かけられるのであれば。その時自分は友人に対してどうしたらいいかを、自分にとって正しく選べるか。それが幼馴染シリーズを分ける材料だと思います。

だから歩夢ちゃん一気に膨れ上がった巨大な感情を少しずつ処理するために、侑ちゃんに停滞を求めました。

 

先に行かないでほしい。

もっとゆっくり歩いてほしい。

もっと、自分の身の周りにいる人をじっくり見てほしい。

 

私を見てほしい。

 

 

1話の最後で、歩夢ちゃん「私の夢を、一緒に見てくれる?」侑ちゃんに問いました。揚げ足取りみたいですが、彼女は「夢を、一緒に叶えてくれる?」とは問うていません。彼女にとって「夢」とは侑ちゃんと共に「見る」ものであって、「叶える」ものではない。もっと正確に言えば、まだそこまで達していない。

10話で言った「ステージに立つだけで胸がいっぱいになる」のが彼女なら、「勇気も自信もまだ全然な自分がステージに立つのを、観客の侑ちゃんが見ているだけでいい」んですね。

 

今はまだ、歩夢ちゃんにとってのスクールアイドルはそれで十分なんです。彼女の夢は、歩いて踏みしめて叶えるものだから。そしてその願いを歩夢ちゃんは、侑ちゃんが受け入れてくれたとばかり思っていた。1話の「約束」からずっと。では何故そんな風に信じ続けていたかというと、

 

 

 

なんですよ。

 

歩夢ちゃんにとっての侑ちゃんは、「スクールアイドルのサポーター高咲侑」ではなく「幼馴染の高咲侑」であり続けているから。

 

まさか、放課後に何の目的も無くブラブラ寄り道するだけの幼馴染が、まさか「スクールアイドルにとっての"特別"」たる人になるかもしれないとは思っていなかった。今まで特に何も特別性を感じなかった二人で帰る帰り道が、急に価値を変えて実感できるわけです。だから日が暮れてもなお部室に残って侑ちゃんを待ってたり、バス停のシーンが妙に取り残されたのを強調させられていたんだなと。

 

 

 

 

 

 

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相変わらず冗長になってしまいましたが、歩夢ちゃん侑ちゃんに抱く感情が百合なのか、そして今回はそれによる嫉妬「せつ菜ちゃんの方が大事なの⁉︎」と言わしめたのかといわれれば、それだけでは説明できない積もり積もった巨大な感情群と言えましょう。

 

誰かを特別に想う。その感情が歩夢ちゃんにとって、1話ではごく当たり前に、「かわいいよ」という褒め言葉さえ冗談めかして受け入れて生きてきた女の子にとって、著しく価値を持つことになった末での爆発です。侑ちゃんが電子ピアノをこっそり買って練習していた、という事実がまさか着火点になるとは、と驚いてる視聴者も多かったでしょうけど、多分歩夢ちゃん自身もそこで堰が切れるとは思ってなかったでしょう。

 

どう形容していいのか分からない、辻褄さえ合ってないかもしれない。

 

だけど、それでも一人にしないでほしい。いつまでも隣で、以前までの高咲侑でいてほしい。

私の中の、

夢にまで思い描いた、

夢の中で内心ずっと閉じ込めてきた、

今まで甘んじて受け入れてきた、

ずっと続くかと思われてきた日常の中の高咲侑。

 

アニメラブライブ!がここまで突き詰めて、かなり踏み込んで特別な感情を描くアニメになるとは思いもよりませんでしたね。ですが不思議ながら、自分は今回歩夢ちゃんを「重い」とはそれほど思わなくて。

 

 

 

これは何故かというと、上述した通りそもそも「人が人に特別な感情を抱く事」に関して自分は普段からかなり意識的に、深々と論考してきたからというのが大きいです。

そして今回の歩夢ちゃんにまつわる幼馴染の描き方というのがかなりライトに抑えられているから、というのもあるんですよ。前回書きましたが、自分は「幼馴染」という関係は"結果"であると思っていて。まぁそれは神に〜さまの受け売りなんですけどね。

それを証明する為のバックグラウンドとして、例えばとても丁寧に練り上げられた幼少期のエピソード描写があったり、歩夢ちゃんと侑ちゃんという人物をもう少し色濃く描くのであれば「幼馴染」としての関係と感情をどっしりとした大きなものに捉えられたと思います。

ですがそれをしないままに11話で爆発させたのは、歩夢ちゃんこのアニメの顔でありながら主人公ではないという、アニメ虹ヶ咲の特長浮き彫りになった展開の裁量なのではと思います。要は一人にそこまで時間割いてられねぇ!ということですね。その実、もし歩夢ちゃんをこのアニメの正式な主人公とするならば、最低2話は使って彼女を描くというのが今までのやり方だったはずです。しかし今回そういう「幼馴染としての説得力」に値する説明付けはほとんどされていません。歩夢ちゃんと侑ちゃんは幼馴染なんだ、という前提から始まってしまっています。

あるいは、この鬱屈とした感情の決着となるであろう次回12話過去の裏付けが付け足されるのか。幼少期を映したであろう意味深な写真立てが飾られていましたし、その辺りかなと。

 

 

 

 

 

 

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まぁ↑はかなり邪推しましたし、視聴後の妙なテンションで少し気が動転してたと思わなくもないですが、

「侑ちゃんの即答に怖いものを感じた」というのは本当で。即答って基本的に問いかけた方の気持ちを軽んじてるみたいであまり好きではないのですが、この場合

 

「せつ菜ちゃんの方が大事なの⁉︎」

 

「違うよ。」

 

となり、額面通りに受け取れば「歩夢のこともちゃんと大事に想ってる」という意図になりとってもイケメン高咲侑なわけですが、この後に

 

「もっと先のこと・・・」

 

と付け足して打ち明けようとしているのが違う意図の想像を掻き立てられますねぇ。寧ろ逆で、「歩夢が云々どころの話じゃない、私が伝えたいのはそんな話じゃなくて…」という意味合いがあって、そうすると実はこの会話は本質的に噛み合ってない説が提唱されるわけです。それくらい即答というのは自分の意志の力強さを感じさせるものであり、そういう会話劇からも高咲侑が著しい速度で変わり始めていると読み取れます。歩夢ちゃんがこの返答を額面通りに受け取ったのか、一瞬ホッとして柔和な笑みを浮かべるのが残酷ですよね。そのすぐ後に、歩夢ちゃんが一番恐れていた未来の話をされるわけですから。

 

歩夢ちゃんはそういう形で、侑ちゃんを通して「いまのなかで」生きるスクールアイドルたりえているんですよ。今見ている夢の中の新雪に、一つずつ足跡をつけている。

それを侑ちゃんは果たして、どこまで慮れているのか。押し倒されてまで"停滞"を求められた高咲侑は、上原歩という大きな感情に何を差し出せるのか。差し伸べられるのか。

 

 

 

 

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多くのラブライブ!ファンの間の考察では、侑ちゃんはピアノを猛練習して歩夢ちゃんへのオリジナルソングをプレゼントしようとしていることを伝えたかったのでは、と推察されています。

 

もし侑ちゃんが、歩夢ちゃんこれ程まで大きな感情を抱いていた幼馴染であることをきっちり認識できているのであれば、この推察はとても素敵なものになるでしょうね。

高咲侑という人物はこの10数話で既に「視聴者ラブライブ!ファンに限りなく近い派生像」という認識はかなり薄れ忘れ去られ、「みんなにとってのスクールアイドルファン第一号」としてエッジを利かせてきていますが、そんな中での上原歩夢の幼馴染、高咲侑の部分は果たしてどこに着地するのか。楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★まとめ★

 

 

 

 

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この足で挟む描写は天才とは紙一重の変態の発想だとガチで思った。

 

いや今回絵コンテの人女性なんですよね・・・マジでこんな発想出たの?スマホが覆い被さるシーンカットも何か遠回し過ぎて微妙に気持ち悪いと直感で思っちゃったのは俺だけか・・・?変に(意味深)みたいな表現するから百合カップリングがオタクへのファンサ、軽率な媚び売りだと思われるので、その辺ご留意ください。

そういえば今回は特にカメラワークもかなり凝ってましたね。f:id:Elysia_Sunny:20201219080810j:image

こことか。いやまぁこれだけ見ると普通なんですけど、二度にわたる生徒会との交渉シーン、随所随所でカメラ妙にグリグリ動かしてた。別に全く悪いことはないですし見せ方に工夫入れてくれるのは深夜アニメファンとしてヒャッホウですけど、純粋に謎でね。

 

 

 

はー書いた書いた。ん?ササッと書くのではなかったのか?12800文字、既に書いております。まぁでも徹夜した割にはかなり勢い付いて手早く書けた方なので(夜通し5時間)

 

 

 

 

 

という訳で11話でした。

 

んーこれどうしようかな。10話で敢えて総評の点数書かなかったんですけど、それ即ち実は12話まで歩夢ちゃんのお話引っ張ると思ってなくてですよ。10話、11話で二つまとめて総評点書くつもりだったんですが・・・どうしよう。

 

 

 

 

 

12話まで総評(点数評価)は後回しにします。

 

 

 

10話、11話、12話三話を「私の幼馴染三部作」として、ひとまとめの物語として判断し点数を付けさせて頂きます。前、中、後編みたいな。序・破・急みたいなね。

 

 

 

 

 

11話自体はまとめます。今回はスクールアイドルフェスティバル開催に向けて侑ちゃんが猛進する傍ら、歩夢ちゃんはその様子を前半から後半に進むにつれ鬱々とした面持ちで傍観していました。その歩夢ちゃんが抱く思いというのは、幼馴染の侑ちゃんという1話から変わることのなかった特別で巨大な想いです。

こっそり買った電子ピアノが爆発点ではありますが、どこが着火点だったのかは既にここまでのお話の各所に少しずつ散りばめられていて、前回10話からお話の流れが同好会全体として急ピッチで進むにつれ加速度的に想いが増幅していきました。

 

歩夢ちゃんの想いというのはどこか浮世離れした重苦しいものではなく、まだしっかりとした自他との棲み分けが未熟であるティーネイジャーの多感な気持ちがかなり色濃く、如実に引き出されていたといえます。

そこに理路整然とした気持ちの整理の余地なぞあろうものか、特別な感情というものに彼女自身振り回され引き合いにせつ菜ちゃんの名を出してしまったに過ぎず、冷静に分析するのであればそこにあるのは三者への嫉妬ではなくただひたすらに侑ちゃんに対しての疎外感や孤独感が彼女の胸にわだかまってしまったのではないかと解釈しました。

ここまで切迫した雰囲気とはっきりとした言葉で幼馴染に想いの強さをぶつけるというのはアニメラブライブ!としてはかなり思い切ったというか、切り込んだ回だったのではないでしょうか。そういった意味では意欲作(回)で、この11話までに布石を散りばめていたのは読み取れていたものの、勢いよくシフト転換したなぁと強いインパクトを受けました。

 

 

 

 

 

 

 

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上原歩は他の同好会メンバーとは違い、高咲侑という"10人目"に救われたがっています。

 

 

 

果たして、彼女にとって何が「救い」となり、「エンディング」となるのでしょうか。

 

 

 

歩夢ちゃんを粧す簪は、まだ鈍いまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いとふゆ

 

 

 

                              (14140文字)

 

 

                               written by Sunny Road