Sunny Record

アニメラブライブ!の、私見会場です。

アニメラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第12話感想 〜世界で一番優しい銃弾〜

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今この時から、最後まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちはおはようございますこんばんは初めまして毎度どうも、Sunny Roadと申します。以後お見知り置きを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、相も変わらず今回もアニメラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第12話の感想や解説をざっくり書いていきたいと思います。

今回は第12話、第11話で遂にはち切れてしまった歩夢ちゃんの巨大な想い、そしてスクールアイドルフェスティバルという壮大な計画は、一体何処へ向かうのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

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第11話の最後で遂に侑ちゃんへ募った、いや募ってしまった思いを爆発させてしまい、彼女を押し倒してしまった歩夢ちゃん。メールの着信音でハッと我に返りその日は帰ってしまいますが、翌朝顔を合わせづらい様子の侑ちゃんが見たものは、いつもの様子で出迎える歩夢ちゃんでした。

 

思いを募らせた、なんて書くとまぁ百合がどうのという捉え方されかねないので最初に確認しておくと、歩夢ちゃんが堰を切らせたのは侑ちゃん自分のやりたいこと、夢を見つけて急ピッチで邁進する姿に自分がどんどんと置いてけぼりになるのを感じ寂しいと思う気持ちであると、自分は第11話感想ブログで書きました。

しかし翌朝になってみると昨晩の感情的な彼女はどこへやら、いつもの様子で「おはよう」と気さくに声をかけて待ち合わせ、スクールアイドルフェスティバルの進捗に話を弾ませています。

 

ただ一つ違うのは、歩夢ちゃん自分からガッチリとホールドするように侑ちゃんと腕を組んでいるということで、やはり上っ面では何も無かったように振る舞ってはいつつも、さりげなく、しかし確実に昨晩の出来事で歩夢ちゃんの心情は非常に不安定に波立っているというのが読み取れます。「離れたくなんて、ない」とモノローグがあるように、昨晩自分の思いをかなりぎこちない形で激しく吐露したことで思いが確固として強まったのか、口には出しませんが自分の意思を行動に移しています。

自分がほほうと唸ったのは、このシーンで「離したくない」とは言わなかったところですね。自分から腕を組みにいってるのに、「もう離さない、離したくなない」という独占欲とは違う。つまりこれはどういうことかというと、離れてほしくないと願いつつも、侑ちゃんのやりたいことは妨げてはいけないと、二律背反のような気持ちに立っているんですよね。昨晩の気持ちを強く持ったまま引きずっているのであればそれについて歩夢ちゃんは開口一番何かしら言及するはずですし、それをしないのは彼女が昨晩の出来事に後ろめたい気持ちが生まれたということ。後ろめたいと思えたのは、自分の行いを正しく顧みる、客観視ができているということなんですね。

ほんの数時間前の出来事かもしれないのに、もうそんな感情の爆発はおくびにも見せず、自分を引っ込めてしまっている。そういう不安定な気持ちの揺れ動きの描写として、このシーンはかなり繊細で丁寧だと思います。寝れば翌朝元通り、ではなくて寝ても振り子は揺れたまま、というのがノローグの表現一つでコントロールしているのが恋愛小説のようで唸ってしまいました。

 

 

 

 

 

そんな揺れ動く彼女の胸中を描く一方で、スクールアイドルとしての物語としてはかなり順調なペースで進行します。無論、スクールアイドルフェスティバルの開催計画ですね。東雲学園藤黄学園から正式に出演と企画の協力の意を表明され、スクールアイドル同好会についても、各々のステージ案についてどんどん地盤が固まっていってステージが構築されていきます。もう何でもありの一言に尽きる巨大マンモス校のこと、学内の校舎をフル活用し他の部の協力も手伝って大人顔負けの企画力の元計画が進んでいきます。

 

 

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顔芸の女。

 

・・・だけの女にさせないのが虹ヶ咲流なんですねぇ。このシーンめちゃくちゃかわいくて面白かったです。皆さんご存知の通りかすみちゃんは所謂にこちゃんヨハネちゃんよろしくネタイジられ枠として扱われ、ぶっちゃけ視聴者の大体は彼女がこのシーンのオチ担当として「ぬゎんでですかー‼︎」人望ゼロの不遇なオチを予想してたのでは。自分も例に漏れずよしよしスクスタのホーム画面でいっぱい頭撫でてあげるよと構えていたのですが、何だか純朴そうなファン(?)が最後にキチンと顔を覗かせたのが「救われたー!」かわいいオチを用意してあげていたのが意外で良かったです。

 

まぁ虹ヶ咲アニメ、全体的にファンや推しのいる人から叩かれるであろうトゲを先行して徹底的に抜いて回ってるところはこれまでに散見されてたのでかすみん推しの人への配慮もあるのだろうとは思いましたが、個人的にこのシーンで描きたかったのは「璃奈いるー?」「かすみん、いる?」といった、同好会の外にも慕ってくれる友達ができているという点なのかなと思います。璃奈ちゃんは第11話ですっかり懇ろになっていた焼き菓子研究会のクラスメイト達、しずくちゃんは1話からずっと気に入られてるのか演劇部部長、愛さんは最早外部に友達いないとおかしいですし、果林さんエマちゃん彼方ちゃんにも服飾同好会や懇意な人が呼びにきてくれました。

このように、虹ヶ咲スクールアイドル同好会メンバーには部外で仲の良い友達や先輩・後輩がちゃんといて、そして彼女らのスクールアイドルファンとして積極的に慕ってくれてきているというのが、スクールアイドルフェスティバルを企画進行するにあたって明確に現れた変化です。今までアニメラブライブ!では通称神モブと呼ばれるサポート三人組が傍立ってスクールアイドルのライブを献身的に支えている場面がありましたが、このアニメ虹ヶ咲のコンセプトがソロ活動なのもあってかグループ1つではなく一人一人に支えてくれるスクールメイト(ファン)が存在しているというのを明確に表してくれています。学内でそれほど知名度の大きくなかった、話題の中心に無かったであろういち同好会が、壮大な計画を、この学園内で開催するというのが現実的になるにつれ彼女ら生徒全体にも現実味のある空気と繋がりが広がっていくのが読み取れます。

同じ学内にいるクラスメイトやクラブメイトが、実はスクールアイドル。そういう身近でありながら一枚違うステージに立つキラキラしたスクールメイトの絶妙な関係性をアイドルとファン目線の繋がりを持たせつつ描くというのを目立たせる手法はキチンとアイドルアニメやってんなぁと感心しました。そしてこの学内にファンがいるというのは、今回の陰の立役者となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

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侑ちゃんは改めて面と向かって歩夢ちゃん自分に夢ができたという本音を打ち明けます。ですがその内容に触れようとする前に歩夢ちゃんはそれを拒むんですね。

 

この本音曝露シーンの前に歩夢ちゃんが自分の直近の振る舞いを「恥ずかしい」と自省するところがあるのですが、自分はここにグッときました。「何であんなこと言っちゃったんだろう、私のバカ」という自身への否定はしてないんですよ。だけど恥ずかしい。学舎内で既に様々なステージや出店ブースができてきて、侑ちゃんのやりたいことがいよいよ現実になろうとしているのに、自分は何で駄々をこねたんだろう。そういう客観視をここでもできているのが歩夢ちゃんの良いところでもあり、また多感な10代の女の子の心のすり替えとしても非常に色濃く、彫りが深い。良いなぁこのシーン。

 

けど実際侑ちゃんに面と向かって打ち明けられると、やっぱり自分の気持ちは止められない。「私のスクールアイドルの夢はこれからなのに!」というように、歩夢ちゃんの夢の歩を進めるペースと侑ちゃんが夢を手に取るように叶えていくスピードが、あまりにも乖離してしまっている。そのことに気付いて、それを邪魔することがいけないことだとも分かっているのに、でもやっぱりそのどんどん開いていく夢を追う距離感に不安と焦りを感じて、怖い

既に同好会メンバーの半数くらいが正式なイベントでステージを披露しています。侑ちゃんはそれら全て、ステージの上のスクールアイドルの内外を間近で支え、見守り、見届けて、また更に応援してきています。だからこのまま歩夢ちゃんも、順番待ちとまでは言わないけども自分だけのステージを作ることに侑ちゃんが注力してくれる日がくると信じて頑張っていた。ですが当の彼女はいきなり視野を大きく広げ、全てのスクールアイドルLOVERにとっての最高のステージへと熱意を注いでいます。

 

歩夢ちゃんにとって、侑ちゃんせつ菜ちゃんとグッと距離が縮まったなんていう陳腐な百合嫉妬は最早眼中じゃないんですね。いや多少は・・・あるんでしょうけどせつ菜ちゃんが主眼ではなくて、やはり彼女自身が1話の「約束」を反芻したように「ずっと歩夢の隣にいるよ」という約束が反故にされかけてしまうかもしれないという侑ちゃんへの不安が拭いきれずこうして悲しい顔をしているわけです。

例えばこれを中立的に見るならば、「ほんまやんけ侑ちゃんよぉ、フェス開催する前に彼女はんのステージ1つくらい設けたれや」という感じに侑ちゃんにも責められる部分があるというように指摘するんですが、仮にそうやって気休めでステージを設けたにしても、既に歩夢ちゃんは自分たち二人の夢が枝分かれしていることに気付いていて、夢を追うことを邪魔しちゃいけないことも理解しているんですなぁ。

 

理解してるけど、受け止めきれない。

 

これがこの歩夢ちゃんの胸中に取り巻く思いの正体です。"あなた"を責めようとも、結末が分かってしまっている。侑ちゃんが初めて抱く夢への思いがとても清らかで貴きものであり、その純粋な気持ちがひた走っていくのを誰よりも一番否定したくないのは他の誰でもない彼女です。分かってる、分かってるはずなのに、心が許容しきれない。だからこのシーンの彼女は「ゃ・・・」弱々しく震えて、しかし強い意思のある発露への拒否をしてしまうんです。この「ゃ・・・」の演技、リアルで感情がフルに込められててめっちゃ良かったですね。でも何かこっちまで悪いことしてる気になっちゃうのであまり何回も見直したくはないです。女の子には優しくしようね。

 

このシーン、侑ちゃんがかなりショッキングな表情をするのも高咲侑という人物像にかなり息が吹き込まれているというか、「あなた」の延長線上の存在でなくなってきているのが読み取れます。歩夢ちゃんにとって一番大切に取っておいていた動機と感情がここまで同じだったように、侑ちゃんにとっても一番大切なものは1話から変わりません。「スクールアイドルという憧れを追うことで、自分も何か夢を見つけること」です。何か憧れている人を追っていけば、大事な夢が見つかる。

おや、似たような歌詞が思い浮かびませんか?そう、「大事な夢追う時、大事な人が分かる」と解いたスクールアイドルがかつていましたね。平凡でどこかだらけたスクールライフに突如雷鳴のごとく現れた非日常。それを魅せてくれた人を追っていって、最初は立ちはだかる壁に「自分では無理なのかな」と思ったその時に、支えてくれた人がいる。支えてくれた歌がある。その恩人を蔑ろに扱うわけがないんですよ。真心で支えてくれたから、真心の恩返しをしたい。侑ちゃんはそう常に願っていたはずなんです。そしてそれをようやく少しずつ恩返しできる自分になってきたことを打ち明けようとしたのに、言わせてもらえなかった。それは・・・ショックでしょう。でもその人がそれを望むのなら、目を閉じて先の世界を拒むなら、今は、まだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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ではスクールアイドルをするということは、後ろめたいものなのでしょうか。夢を追うということは、一緒のペースで走れない人のことを後ろめたく思うことなのでしょうか。

それは違うんですよね。現に、それはせつ菜ちゃんが証明してくれています。歩夢ちゃん侑ちゃん、彼女ら二人が共通して憧れ、スクールアイドルを(違う形ではあれど)始めた原初のきっかけである彼女がね。

このシーン、せつ菜ちゃんゲリラ公演の打ち合わせにどこか気まずそうに登壇しているのが芸が細かくて面白いなと思ったのですが、少し考えてみましょう。すぐ傍に立っている生徒会副会長が実はせつ菜ちゃんのファンだったと分かったわけですが、それを打ち明けることもできず中川菜々=優木せつ菜であることを隠してこうしてソワソワしています。かなり言い方は悪いですけど、事実上副会長を半分騙したままなんですよね。今後どうなるか分かりませんけど。

せつ菜ちゃんである時の彼女は以前「このまま謎のスクールアイドルとして〜」なんて属性強化みたいに言って喜んでる節はありましたけど、さぁ中川菜々として立ってみて自分を見直してみると、そんな自分は許せるでしょうか。答えはNOではないでしょうか。真面目で責任感の強い彼女のことだ、本来は自分を騙ることは許せない行為だと思っているはずなんですよ。ましてや生徒会のまさに右腕である人です。今まで生徒会を運営していく上で時に支えたり、また支えられたりした場面もあったはず。この辺は想像ですけどね。だけどそれでも彼女は優木せつ菜であることを、謎のスクールアイドルであることをやめてないんですよ。学内でこれ程人気の出るようになっても、自分の好きな自分をやめていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

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何故それが出来るのか。もうこれはシンプルなたったひとつの思想だけです。たったひとつ。

 

「好きだから」です。

 

もう大好きなんですよ。自分で、自分がスクールアイドルでいられる自分が。それだけじゃありません。そんな自分を応援してくれるファンとの関係と空間全てが。

 

優木せつ菜という女の子は、かつてそれが「行き過ぎた」経験を持っています。自分の中の熱い思いが先走り過ぎたあまりに、周りを傷つけてしまった。その結果勢い任せで同好会という部を、部室を無くしてしまった。それが正しいか正しくないかは今はさておいてですよ。それでも、やり方を変えてでも彼女はまた気持ち新たにここにいるんです。神経図太いなぁなんて思わないでね。

 

自分の気持ちに正直になりすぎることが不安で、ステージを目指す自分が、いつしか今までの自分じゃなくなっていく。

 

どんどん熱く、激しくなっていく。

 

アイドルって、そこが怖いんですよ。何かとてつもない引力のようなものにアイドル自身が引っ張られ、熱中し、そんなアイドルを見たファンもまた、同じ力に吸い寄せられる。膨大なエネルギーがある存在だと思います。

 

せつ菜ちゃんはそれを他の同好会メンバーがいることで思い知っています。そう、自分じゃ気付かない自分を他の誰かが教えてくれる。

 

今の歩夢ちゃんに対してそれが出来るのは、せつ菜ちゃんだけです。

 

 

 

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このシーン、

 

ほんっとうに熱くて良かった。

 

いやぁほんっとに。これが虹ヶ咲なりのスポ根なんだなと堪んなくなりましたよ。

 

歩夢ちゃんの背中を押してくれるのは、本来は侑ちゃんなはずでした。少なくとも1話ではそうだったはずです。

ですが先述の通り彼女では、本音をぶつけ合うたびにお互いの夢を尊重し合うが故に引け目を感じてしまうんでしたよね。では誰が歩夢ちゃんを支えてあげられるかというと、やはりスクールアイドルになることそのものに強い憧れと意思を持った人でなければいけません。

歩夢ちゃんはここまでに、自分なりに一生懸命活動していく中で自分を応援してくれるファンがいることをハッキリと認識して、嬉しく思っていました。今日子ちゃんらだけではありません。伏線は実はその前からあって、例えば第6話なんかでもゲームセンターで下級生から声をかけられていましたし、自己紹介PVのコメント越しにでも好評してくれる人がいることがちゃんと描かれているんですね。虹ヶ咲学園普通科2年上原歩ではなく、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会上原歩としてちゃんと認識してくれて、そのファンとして積極的に接近してくれる人がいる。その中で彼女自身このシーンで明言していますが、自分が以前までの自分じゃなくなってきていると、しかと感じているのです。

 

 

もう、自分はスクールアイドルとして歩み始めている。

 

 

 

 

本当は、歩夢ちゃんはそのことに自信を持ちたいんです。胸を張ってスクールアイドルだと、スクールアイドルが好きで追いかけているんだと。

だけどそこに自信を持って一歩を踏み出した瞬間、自分が侑ちゃんとの夢の道を違えることを認めてしまうことになる。

 

そのことに真正面から向き合う、「勇気」が足りない。

 

何?ゆうきが足りない?じゃあ「優木」が励ませばいいじゃないの。なんて愛さんギャグはその辺に置いておいて。その「夢への一歩」を後押し出来るのは、この一言が言える、彼女だけなんですよね。

 

 

 

 

 

「(大好きが)始まったのなら、貫くのみです‼︎」

 

 

 

 

何かめちゃくちゃ月並みですけど、この言葉、額縁に入れて飾りたいほど好きです。シンプルだけど力強い純粋な意志。これほどラブライブ!を表した一言って他に無いでしょう。アニメラブライブ!名言集の1ページ目に堂々ランクインですよ。突如同好会と部の二つに分派してメンバーを派閥争いさせた同人ゲームはこの言葉を書いた紙を毎朝起きてすぐ100回は朗読してもらいたいものです。

 

いやぁ、ほんとここのせつ菜ちゃんは最高にスクールアイドルしてた。

考えてみれば、今まで歩夢ちゃんせつ菜ちゃんは同学年でありながら、描写的にもかなり仲間的繋がりや絡みがあまり顕著でないように置かれていました。それもそのはず、これは侑ちゃんにとってもそうなのですが歩夢ちゃんにとって優木せつ菜という女の子はやはり自分がスクールアイドルを始めたきっかけになった女の子であり、一番身近で一番遠い憧れでもあるんですよね。だからこそ歩夢ちゃんの心情が揺れるこのシーンで、性格的にもあまり似通った部分の無い者同士にも関わらず「たったひとつの共通点」だけでここまで熱いシーンを作れるものか。だからといって熱い抱擁みたいな力技のシーンは交わさず、拳と拳を突き合わせるだけ、というのが何だか等身大の女子高生らしさも溢れ出ててとても素晴らしかったですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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歩夢ちゃんが走り出すシーンの道路標識や信号が暗喩的だと指摘してらっしゃる方が多くいました。実は第11話でもどこか意味深に非常口のマークだったり赤信号を映したりしてましたね。

こういう無機物に何らかのメッセージ性を込める、みたいな細かい芸当をするアニメは少なくともアニメラブライブ!シリーズでは珍しいですよね。京アニとかやとお得意様なんやけど・・・制作各位様がそういう性癖チックなものをお持ちなんでしょう。

 

 

自分は全然スクスタという同人ゲームを進めていないので把握してなかったのですが、どうやら歩夢ちゃんキズナエピソードガーベラをファンと植える類のお話があるようですね。その辺になぞらえてるのを予め知っておくとこのシーンのガーベラは更にセンセーショナルで心に深く突き刺さったと思います。多くの視聴者ラブライブ!ファン様は感激してましたね。ぐぬぬ、後悔。

まぁそれはいいんですがこの場面・・・個人的に何となく惜しいなぁと思ったのは侑ちゃん花言葉を堂々と伝えちゃったというのが無粋というか、奥ゆかしさに欠けるなぁと思っちゃいましたね。視聴者の考察の余地残せ!という言い分も半分あるにはあるんですが、花言葉って花を捧げる側の人が堂々と告げるんじゃなく、授かった側の人が心中で気付いて二重の喜びを得るってのが嗜みなんじゃないかなと、個人的には思います。いや勿論、高校生だしそういう大人びた形式ばったやり方じゃなくてもいいんですよ。

 

そう思って少し推測したのですが、自分たちラブライブ!ファンは既に開花宣言だったりの曲や衣装のイメージで既に歩夢ちゃん「花(ピンク)」というイメージを既に当然のように持っていますけど、作中の彼女はそういうモチーフはまだ無いわけでね。ですが侑ちゃんだけは歩夢ちゃんが歌った「Dreamin' with YOU」のイメージの世界で、彼女が表現する世界が「色づいていること」を知っているから、それに合ったステージと花を用意して、侑ちゃん自身が面と向かって「自分が見たあなたというスクールアイドルはこんな表現の世界に生きているんだよ」という、""自分は歩夢のことを花に具現化出来るくらい見ているよ"という誠意と意思表示で、敢えて花の種類と花言葉を明言したのかなぁと。

そもそも花や花言葉に関わらず、花が満開に咲き誇っているということは、今まで足踏み状態だったと焦りを感じていた歩夢ちゃんにも、侑ちゃん今日子ちゃんらというファンあなたのことをちゃんと大切に見守っているよという祝福のエールであるとも受け取れます。ファンという存在がいるからこそ、アイドルは成長出来るものですからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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始まったのなら、貫かなきゃいけない。

別に難しいことではないんです。体力や精神力の要ることでもありません。

一つ信じたもの・ことに、自分が思う「前向き」であればそれでいい。

いつも心に太陽を称えて、同時にほんのちょっぴり弱気だけど、だけどそれすらも楽しめたら、きっともっと、昨日の自分を、今のあなたを、明日の誰かを信じてあげられる。

たとえ綺麗事でも、それがとあなたが繋がったときめきであるのなら。

 

 

侑ちゃん音楽の道に転向する。

歩夢ちゃん自分を支えてくれる大切な人たちの為に歌うスクールアイドルになる。

 

侑ちゃんという人物が"あなた"の垣根を超えて明確化してきたとは上述しましたけど、現実的に進路を変えるという意を示したのは第1話の踏襲でもありますね。第1話ではいつもと変わらない凡庸な日常を恣にしていた彼女が、特にやりたい目標も無く日々の生活流されるがままに予備校に通おう、なんてぼんやりと見積もっていましたが、そんな彼女はもういません。明確に進路が定まりました。と同時に、今まで一緒だった歩夢ちゃんとは違う方向です。

だけど、どうしようもなく始まって、どうしようもなくやめられなくて、好きが止まらないのが夢だから。「止めちゃいけない」と、その時初めて真剣な表情でを語り合った第1話の歩夢ちゃんのステージと同じ場所で、今度は違う、自信を持った表情で向き合います。

 

 

 

 

 

 

大好きな夢と、夢を追いかけるのを支えてくれる人みんなに、せめてもの契りと花束を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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歩夢ちゃん(改)のソロ曲は、「Awakening Promise」

いやぁ素晴らしい。ピンク色満開で花開くステージは第1話ステージに被せつつも、さらに自信の表れかのように溢れんばかりにファンシーでファンタジックな不思議の国のアリスの世界観を彷彿とさせるイメージ群。

ああ上手く明文化出来ん。こうして今回の新曲と見比べてみると第1話「Dreamin' with YOU」ではどこかこう、「駆け出してみるよ!という精一杯の第一歩めいた、誰かに誘われてぎこちなく振り絞った挙句披露したかのような感触も伝わってくるのですが、こちらはこう、のびのび歌ってる感じが四肢に感じます。満面の笑みで、軽やかに。

ステージの上の時計が第1話では止まっていますが、この新曲ステージでは針は回っています。彼女にとって夢を志すことと、夢に向かって駆け出すことは2ステップ必要であったのが見て取れますね。

 

後これは余談ですが、正直まさか曲のタイトルに「Promise」と付くとは思ってなくて、第1話の表題を「彼我に契りを仰ぎ見て」にしたもんだからEDクレジット見てギョッとしました。

歩夢ちゃんせつ菜ちゃんと拳を突き合わせる友情のシーンも、せつ菜ちゃん回である第3話の表題を「拳と掌」にしていたのでこれまた少しびっくり。まぁこれに関しては、元々せつ菜ちゃんのPVなんかで彼女には「拳を握る」というイメージの共通認識があると思われるので自分だけの合致ではないかもですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★まとめ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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先に総評書きましょうかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第12話、総評は第10話第11話合わせて120点です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブラボー。もう何も言うこと無しです。おめでとう。第10話、第11話、第12話、このめちゃくちゃ丁寧に構成された起承転結の三部作が素晴らしかった。まごころ系スクールアイドルと前評判のあった歩夢ちゃんを、これ程までに丁寧にキャラを掘り下げ、しかし10代の乙女チックな少女らしい一人の女の子としてリアルに描写する技巧が冴え渡っていました。

メタな話ではありますが、ここまで百合百合しい友情がすれ違う展開を持ってきたのも斬新といえますね。一歩違えばSSや二次創作に負けずとも劣らないほどのチープな百合群像劇の出来上がりでしたが、侑ちゃんの扱い方、せつ菜ちゃんの立ち位置なんかにもかなり繊細に気を配って、歩夢ちゃんが本来持ち得る純朴で奥ゆかしい女の子らしさを揺れ動く感情として美しく描いていて、虹ヶ咲がソロ活動というコンセプトでどうしても生じてしまう「私ひとりを見ててほしい」というメタフィクション的訴求個人の心の成長というすっぽり収まる形で収束させていました。

 

 

といっても、侑ちゃんも最後でしっかり今の歩夢ちゃんが特別な存在であることをちゃっかり吐露するんですけどね。「最初にかわいいと思っていたのは私なんだからね」ってイケメンなこと言ってますけど、これはやっぱり今の自分も否定しないまま二人のこの先の関係を始めようという意思表示、なんですなぁ。

 

 

 

 

 

 

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そうそう、重要なことを補足し忘れてたのですが、

 

今回の二人は本質的な部分で解決していません。

自分はそこも踏まえて良かったと評価しておきます。

 

この12話、第11話がかなり大きな感情が入り乱れたのもあって、何か釈然としない、スッキリしない収束だったとお思いの方がTwitterでちらほらいらっしゃいました。辛口ではありますが、確かにこの第12話「問題」と捉えるのであれば正直、歩夢ちゃんがほとんど一人で大きな感情を抱え込んで、ほとんど一人で漠然とした言葉に励まされて、ほとんど一人で勝手に解決したと受け取ることもできます。

 

 

これまたメタい話になってしまいますが、今までアニメラブライブ!では、こういった番いの者同士の友情話は必ず大きな感情には、大きな感情で必ずぶつかり合って和解するというやり方が取られてきました。絵里ちゃん希ちゃん然り、花丸ちゃんルビィちゃん然り、果南ちゃん鞠莉ちゃん然り。それが従来のアニメラブライブ!流スポ根術です。そしてその感情のぶつけ合いが結果的にスクールアイドルグループとして欠けたピースを埋める為のエピソードに収束していたんですよね。

ですが今回のアニメ虹ヶ咲という作品は、スクールアイドルグループではありません。再三再四書いたように、あくまでソロ活動がコンセプトです。ということはつまり、一人一人のエピソードがグループ全体のシナリオ展開にほぼ起因していないんです。この12話でもスクールアイドルフェスティバル開催のお話を実際に動かしていったのはほとんど侑ちゃんただ一人ですし、歩夢ちゃんはあくまで上原歩という女の子、自分に向き合うエピソードだったに過ぎません。第3話では少し直接的に侑ちゃんが関わって熱い感情のやり取りをするシーンも見受けられましたが、今までのソロ回を見直してみるとやはり大元の部分は「自分に向き合う」ことの必要性や大切さを説いていたんじゃないかなと思います。ですので収束という意味では、一人で勝手に納得して解決したという感触があるのは当然といえば当然なんですよね。

 

 

自分は、「Awakening Promise」歌った夢ちゃんにはもう侑ちゃん「私だけを見守っていてほしい」という気持ちが全く残ってないかと言われれば、それは嘘だと思います。

侑ちゃん歩夢ちゃんが夢を追うペースが違うのは、お互い道が違えども変わらないことだと思いますしまた歩夢ちゃんが侑ちゃんとの夢の距離感でモヤモヤした感情を抱くこともこの先あるんじゃないかとも思います。まぁこの辺はただの妄想ですけどね。

 

やっぱりみんな誰しも嫉妬というか、自分の持ってないもの羨む生き物ですからね、それを言っちゃおしまいなんですけど。逆に言えば、人がそういう存在であるからこそ一つの集団として足並みを揃えて成長するためにアイドルはグループとしてまとまるという側面があるのではないかと思ったり。ということは、ソロ活動で違う夢を追い始めた侑ちゃん歩夢ちゃんが交わした約束一時しのぎのものであり、この先また歩夢ちゃんの気持ちが揺れ動いたり、あるいは侑ちゃん自分の力不足に悩んだりなんてことも起こり得るんだと捉えています。

それじゃあこの12話で気持ち新たに交わした約束なんて何の意味も無くて、解決してないじゃないか・・・。

 

 

 

 

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でも、それでいいんですよ。

今はそれでいいんです。

今はその場凌ぎの約束だけでもいい、誰かの為に成長したい、自分なりに前に進みたい。そう信じて突き進んだスクールアイドルが未熟Dreamerという曲を歌いました。

たとえ離れていても、その先でまた不安に目を瞑ってしまうようなことがあったとしても、今はそれが精一杯を重ねていくことが、10代の学生らしい歩み方なのではないでしょうか。

 

 

あんまり友情のすれ違いだったり自分との向き合いを「問題」として、正しいか正しくないかで捉えるのは好きじゃないので、上手く言えませんけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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今までアニメラブライブ!では、スクールアイドルとして活動するうちに成長していくことについて、何の躊躇いもありませんでした。ところが今回の三部作では、自分や誰かがスクールアイドルとして成長してしまうことに戸惑いと不安が募ってしまいました。

だからとて、アニメ虹ヶ咲が特異な作品というわけではありません。寧ろ、高校生という多感な年頃の感情の揺れ動き話を非常に丁寧に、時に激しく、しかし軽やかに描く所謂「大人の階段」としての一歩をスクールアイドルという題材で表現したエピソードだったと思います。

 

 

自分自身と夢を見つめ直し、また歩き出す。シンプルなのに奥深い、アニメ虹ヶ咲流スクールアイドルアプローチとして申し分ない第12話でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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さあ、グランドフィナーレだ。

史上最大の夢の祭典を、雨上がりの空に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いとふゆ

  

 

 

                                     (12720文字)

 

 

                                   written by Sunny Road

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回、第11話の感想記事はこちら↓

 

 

 

https://elysia-sunny.hatenablog.com/entry/2020/12/19/121524